カナダ発祥のshopify(ショッピファイ)は、世界中でシェアを広げているECプラットフォーム。日本でも多くのショップがshopifyを活用して自社サイトを作成しています。それに対し、楽天市場は日本国内大手のECモール。定期的なキャンペーンにより、集客に優れたサイトです。そんな似て非なるshopifyと楽天市場が、なんと2020年4月から連携ができるようになっているのをご存じですか?
でも、「連携できると何が便利なの?」「連携することによるメリットとデメリットは?」という疑問を持つ人も多いはず。そこで本記事では、連携方法や連携によるメリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。
shopifyと楽天市場の両方での出店を検討している人や、どちらの出店がいいか悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。
shopifyと楽天市場は連携ができる
shopifyと楽天市場のどちらでもネットショップを運営している場合、それぞれを連携することができます。でも何をどう連携するの?という人のために、まずは「どう連携するの?」「それによって何ができるの?」という疑問を紐解いていきましょう!
2020年4月~shopifyと楽天市場の連動が可能に!
2020年4月7日、世界175カ国で利用されているECプラットフォームshopifyと、日本最大級のECモールである楽天市場が、販売チャネル連携を開始しました。
これは、shopifyで「楽天販売チャネルアプリ」を利用することで、楽天の店舗運営システムであるRMSへのアクセスなしに楽天市場の商品登録、受注管理、在庫管理、配送処理を一元管理し、運営することが可能になるというもの。楽天市場の管理画面に移動することなく、shopifyの管理画面だけで2つのショップ運営を完結できるのです。
連携によりできるようになることは?
気になるのは、shopifyと楽天市場の連携により、何ができるようになるの?ということですよね。できることは、主に以下の2点です。
- shopifyの管理画面に登録した商品を楽天市場の商品として販売することができる
- 楽天市場での受注情報をshopifyの管理画面で管理することができる
shopifyと楽天市場をそれぞれ運営する場合、それぞれにログインすることはもちろん、両方の在庫管理のため、別途システムを導入して情報を連動させたり、エクセルなどで手動計算させたりと、手間がかかってしまいます。
しかし連携によって、別々に運営していたものがshopifyの管理画面上だけで行えるようになると、両方のショップをより効率的に運営できるようになります。shopifyと楽天市場、両方でネットショップを運営している人はもちろん、shopifyから楽天への進出も簡単になるため、今後出店を検討している人にとっても魅力のあるサービスとなるでしょう。
連携させる操作方法<楽天市場に出店していない場合>
楽天市場でショップを出店する際は、申し込みをして審査完了後に与えられる、楽天の店舗運営システムであるRMS(Rakuten Merchant Server)のアカウントが必要です。
ここでは、RMSアカウントを新規作成する場合(楽天市場未出店)と、RMSアカウントをすでに持っている場合(楽天市場出店済み)に分けて、それぞれの連携手順を解説していきます。
まずは、shopifyは出店済み、RMSアカウント未発行の場合から説明していきましょう!
手順1.アプリを追加し販売チャネルを追加する
shopifyと楽天市場を連携させるには、「楽天市場販売チャネル」アプリのインストールが必要です。shopifyの管理画面>shopify app store>rakutenで検索し、「楽天市場販売チャネル」アプリを見つけて「アプリを追加する」ボタンをクリックしましょう。
「販売チャネルを追加する」をクリックすると、楽天市場への接続画面になります。
手順2.楽天市場に出店を申込
楽天市場に出店していない場合は、「出店申し込みをする」をクリックします。楽天市場への出店は年間契約で、登録できる商品数や利用料が異なる3つのプランから選択。料金プラン画面の下にある「出店申込」をクリックし、必要情報を入力します。
ちなみに、資料請求してから検討することも可能。申込が完了すると審査に進み、審査完了までにかかる期間は2週間から1ヶ月ほどです。
手順3.アカウントの連携
審査が完了し楽天市場への出店が決まったら、shopifyとのアカウント連携です。shopifyの管理画面にログインし、shopifyの管理画面>オンラインストア>Rakuten Ichiba(JP)と進め、出店情報を入力してきます。
連携で必要になるのは、楽天市場店舗URLとRMS APIライセンスキー、SMTP ID、SMTPパスワードの4つ。全て入力して接続すれば、連携が完了します。
手順4.shopifyの商品を楽天市場に登録
shopifyで販売している商品を楽天市場でも利用できるようにするために、shopifyの管理画面から登録を行いましょう。商品の個別ページ>販売チャネル>管理>Rakuten Ichiba(JP)のチェックボックスにチェックを入れることで、楽天市場でも商品を販売できるようになります。
手順5.楽天市場での商品情報を作成
商品登録完了後、商品ページの上部メニューにある「その他の操作」タブ>Edit Productで、楽天ページで表示される商品名やキャッチコピーを設定することが可能です。配送方法や送料など、独自の設定が必要な場合は、商品編集画面から変更します。
手順6.審査後販売を開始
楽天市場で商品を販売するには、出店時とオープン前の、2回の審査が必要になります。出店前の審査と同じく、オープン前審査でも2週間~1ヶ月ほどかかることを把握して、早めに準備を進めるのがおすすめです。
連携させる操作方法<楽天市場に出店している場合>
続いては、すでにRMSアカウントがある場合についての連携の流れです。
手順1.同じメールアドレスを登録しておこう
連携させるための前準備として、shopify Dashbord で設定しているメールアドレスを、RMSアカウントにも設定しなくてはなりません。
メールアドレスの設定は、shopifyの管理画面で、設定>一般>ストアの詳細>Customer Emailを選択、Shopifyに設定しているメールアドレスを確認し、RMS管理画面ページの店舗連絡先メールアドレスに登録するという流れです。
手順2.アプリを追加する
shopifyと楽天市場を連携させるため、「楽天市場販売チャネル」アプリをインストールします。shopifyの管理画面>shopify app store>rakutenで検索し、「楽天市場販売チャネル」アプリを見つけて「アプリを追加する」ボタンをクリックしましょう。「販売チャネルを追加する」をクリックすると、楽天市場への接続画面になります。
手順3.連携
「出店情報を入力する」をクリックし、連携に必要な情報を入力していきましょう。ここで必要になるのは、楽天市場店舗URLとRMS APIライセンスキー、SMTP ID、SMTPパスワード。
RMS APIライセンスキー、SMTP ID、SMTPパスワードが不明な場合は、RMSアカウントにログイン後、拡張サービス一覧>各種申請・設定変更>設定変更>RMS Service Square>shopifyを検索。表示された「Sales Channel App」を登録すると、登録したメールアドレスに申し込み完了のメールが届きます。その後、再度RMSアカウントにログインすると、追加されたSales Channel AppからRMS APIライセンスキーを確認することができます。
STMP IDとパスワードは、RMSアカウントのメニュー>R-Login>あんしんメルアドサービスメニューで表示されるでしょう。全て入力して接続すれば、連携が完了します。
連携することによるメリット・デメリット
shopifyと楽天市場の連携ができるのはわかったけれど、どんなメリットがあるのかが気になりますよね。最後は、shopifyと楽天市場の特徴を解説しつつ、2つを連携させるメリット・デメリットをご紹介します。
まずはshopifyと楽天市場の特徴を理解しよう
連携によるメリットとデメリットを確認する前に、それぞれのプラットフォームの特徴を理解しましょう。
shopifyは自社型EC、楽天市場はモール型ECと、同じネットショップであっても、形態が異なります。カスタマイズ性の高いshopifyの強みは、ブランディングのしやすさ。自社のショップの特色を反映しやすく、オリジナリティのあるネットショップを展開することができます。その反面、集客力が低いことがshopifyの弱み。どんなに魅力的なネットショップを作っても、それだけでは顧客の目に留まりません。SNSやWeb広告などを使って、別途集客施策を検討する必要があります。
それに対して楽天市場の強みは、集客力!既にモールに多くのユーザーがついているため、出店するだけで目に留まる可能性が高まるでしょう。その反面、楽天市場の弱みは、ブランディングのしにくさにあります。たくさんのネットショップが出店しているため、「楽天市場で買ったけど、お店の名前は何だっけ?」というような、「ここで買った!」という意識をつけにくく、お店を認知してもらうための差別化の工夫が必要です。
shopifyと楽天市場の連携によるメリット
shopifyと楽天市場は、先に話したように形態や集客方法に違いがあります。しかし、違いがあるからこそ、連携によってお互いの弱点を補い合えることが、一番の大きなメリットなのです。shopifyと楽天市場の連携によるメリットは、以下の3つ。
- 情報の一元化による管理のしやすさ
- お互いの弱点を補うことができる
- より多くの顧客にアプローチすることができる
ショップを運営するということは、それぞれの管理が別で必要ということ。しかし、連携により情報を一元化することで管理作業の短縮が図れることは、大きなメリットになるでしょう。
Shopifyの弱みである集客力と、楽天市場の弱みであるブランディング力は、それぞれ双方の強みでもあります。自社の立ち上げは集客力の強い楽天市場で行い、ブランディングはショップの個性をより出すことができるshopifyで行うなど、連携することでお互いの弱点を補うことができるかもしれません。
また、shopifyの場合はリスティング広告やSEO対策により、ターゲットを絞った集客ですが、日本で圧倒的な知名度を持つ楽天市場は、幅広い世代がユーザーとなっているというように、それぞれ顧客層が異なります。連携により、異なる顧客層へのアプローチできる可能性が高まることも、メリットのひとつです。
shopifyと楽天市場の連携によるデメリット
shopifyと楽天市場の連携によるデメリットとして挙げられるのは、以下の3つ。
- アカウント連動は1アカウントにつき1アカウントまで
- すでに楽天市場のショップに登録している商品はshopifyと連動できない
- オプションサービスの費用がかかる
アカウント連動できるのは、shopifyアカウント1つに対して、楽天のアカウント1つです。複数のショップを運営している場合は、複数のアカウントを用意する必要があります。
また、連動することができるのは、shopify経由で登録している商品のみ。楽天経由で登録している商品をshopifyに登録することはできません。すでに楽天市場のネットショップを運営しておりそちらの商品数のほうがが多い場合は、この連携方法ではなく楽天RMSのデータをCSV形式で取り込み、shopifyにデータ移行するなどの方法を使う必要があるでしょう。
他にも、shopifyと楽天市場を連携させるためには、楽天市場のオプションサービスである「RMS商品一括編集機能」への加入が必要になります。費用は月額11,000円(税込)となっており、このコストがかかるのはデメリットのひとつ。コストを考慮して検討する必要があるでしょう。
連携によるメリットを上手く活用しよう
世界でシェアを広げるshopifyと、日本最大級のユーザーを持つ楽天市場の一元管理は、それぞれの弱みを補うことができる、メリットの大きい仕組みです。アカウントの制約や、すでに楽天市場に登録している商品の取り扱いなど、注意すべき点はありますが、上手く活用してそれぞれのメリットを最大限に活用できれば、自社のネットショップをさらに盛り上げることができるかもしれません。
shopifyでのネットショップ作りと楽天市場への連携を検討するなら、是非弊社にご相談ください。